
金鯱(キンシャチ)といえば、ずんぐりと丸く育つ姿がトレードマークのサボテンです。
ところが、ある日気づくと上部だけが細く伸びてまるで柱サボテンのような見た目になってしまっていたという経験をお持ちの方は少なくないでしょう。
これが「徒長」と呼ばれる現象です。
徒長とは何かなぜ起きるのか
徒長とは、茎や胴体が本来の姿よりも間延びして伸びてしまう現象で、成長と混同されがちですが、サボテンが無理に成長しようと頑張りすぎた結果の弱った姿です。
枯れていないから大丈夫と見過ごしてしまう方も多いですが、徒長は弱ったまま間延びしているだけの状態です。
特に丸型のサボテンは、子株が出ていると思っていたら実は徒長だった、ということもあります。弱々しく根元から細く伸びていたら、まず徒長を疑ってみましょう。
日照不足が最大の要因
金鯱の徒長においてもっとも多い原因が、日光の不足です。
室内などの日が当たらない場所に置くと金鯱も徒長してしまい、丸くならないで柱サボテンのような形になってしまいます。
金鯱は日当たりのいい屋外でないとまともに育ちません。
窓越しの光というのは一見明るそうに見えてもガラスで紫外線や光量がカットされてしまうため、金鯱が必要とする光量としては不十分なことがほとんどです。
特に風水上の理由でトイレや廊下など日が届かない場所に置いているケースでは、かなり短期間で徒長が進んでしまいます。
水のやりすぎも徒長を引き起こす
水の与えすぎもサボテンが徒長してしまう原因のひとつです。
金鯱はもともとメキシコの乾燥した高地に自生するサボテンです。
日本の家庭環境では「かわいそう」という気持ちから水を頻繁に与えてしまいがちですが、過湿の状態が続くと根が水分を必要以上に吸い上げ、胴体が異常に伸びる原因になります。
特に冬の休眠期に水をやりすぎると徒長と同時に根腐れのリスクも高まります。
肥料の与えすぎと高温多湿
砂漠で育つイメージの強いサボテンは「暑い」イメージが先行して、高温多湿の環境にしてしまいがちです。
しかし、あまりにも高温が続くとサボテンが必死に成長しようとしすぎて、それが徒長の原因につながります。
肥料についても同様で、成長を促そうと過剰に与えると必要以上に組織が膨張して間延びした姿になります。
徒長してしまったら元には戻らない
多くの方が「環境を改善すれば元の丸い姿に戻るのでは」と期待されますが、一度徒長してしまったサボテンを元の姿に戻すことはできません。
切り戻しで対応するか、そのまま育てて新しい芽が出るのを待つしかありません。
このような理由から、サボテンの徒長は予防することが重要です。
胴切りによる仕立て直し
徒長が進んでしまった金鯱を治す方法は「胴切り」です。
胴切りとは、サボテンの胴の部分をスパッと切るお手入れのことで、適度な大きさに切り戻すことでサボテンを再び元気に生長させられます。
切るということに不安を感じる方も多いですが、正しい胴切り方法で作業すれば、むしろこれまでよりも元気に美しく育てられます。
胴切りの位置は、徒長株の仕立て直しの場合はトゲの間隔がつまっている部分とあいている部分の境目を目安にします。
つまり、締まった状態で育っていた健全な部分と間延びしてしまった部分との境界線がカットする場所の目安になります。
胴切りを行う時期と手順
切り戻しを行う適切な時期は、春から秋にかけての成長期です。
この期間はサボテンが活発に成長するため、切り戻し後の回復が期待できます。
冬はサボテンが休眠期に入るため、この時期の切り戻しは避けるべきです。
また、切り口を乾燥させる必要があるため、晴れた日の午前中に行うのがよく、梅雨の時期も避けたほうが無難です。
作業の際は、一発で切ることが大切です。
胴切りした切り口が荒れると、そこから病気に感染するリスクも高まるので、清潔で切れやすい刃物を使ってスパッと切ります。
切った後は、直射日光は避け、涼しい日陰で1か月ほど切り口を乾燥させます。乾燥させる際は新聞紙が便利です。
サボテンを胴切りしてから、元株の切り口が完全に塞がるまでは約1か月ほどかかります。
直径10cm以上の太い胴を切り離した場合は2か月かかる場合もあります。
切り取った上部(徒長した部分)も捨てる必要はなく、うまく挿し木すれば植え替えに活用できます。
切り口をしっかり乾かしてから清潔な用土に挿してやれば、新たに根を出して育ち始めます。
徒長を防ぐための日常管理
金鯱の丸い形を維持するためには、日光を当てる際に定期的に鉢の向きを変えることが大切です。
週に1度程度は鉢を回すようにしましょう。
一方向からだけ光を受け続けるとその面だけ成長が偏り、形が歪んでしまいます。
室内で育てざるを得ない場合は、植物育成ライトを活用し、プログラムタイマーで自動点灯管理を行うと毎日決まった時間に自動点灯と消灯をしてくれるため、日々の管理が楽になります。
サボテンは「あげるもの」に気を配るよりも置き場所など周辺環境を整えてあげることのほうが、サボテンにとってプラスになります。
水や肥料を「あげる」行為よりも光と風通しという環境を「整える」ことを優先して考えることが、金鯱を長く美しい姿で育てるための基本的な考え方です。