
「サボテンの王様」とも呼ばれる金鯱(エキノカクタス・グルソニー)は、鮮やかな緑色の丸いボディと黄色い鋭いトゲが特徴の人気サボテンです。
ところが、育てているうちに「なんだか茶色っぽくなってきた」「あの緑色が薄くなった気がする」と感じて心配される方は少なくありません。
金鯱が茶色くなる原因は一つではなく、大きく分けると「日焼け(葉焼け)」「木質化」「根腐れ・病気」の3つに整理できます。
それぞれ状態の見え方が異なるため、まずどのパターンに当てはまるかを確認することが大切です。
日焼けによる茶色・白色への変色
金鯱は日焼けしやすいサボテンとして知られており、特に春になって日当たりのいい場所に移したときは注意が必要です。
サボテンというと「直射日光に強い」イメージが強いですが、長時間の直射日光は葉緑体にダメージを与えて白色に変色させる可能性があります。
1日中当たる場所に置くのではなく、午前中だけ日が当たる場所に置くなどの工夫が必要です。
サボテンが葉焼けすると、表面が白や黄色になったり黒く焦げたように変色します。
艶がある種類の場合は艶が失われ、ザラザラした質感になります。
強い光によって表面から細胞が壊死し、光合成できなくなります。
金鯱の日焼けに関しては、日焼けの程度によりますが、白く変色してシワができるだけなら回復することがあります。
ひどい場合はカサブタ状になって残ります。
特に室内でずっと過ごしていた株を突然夏の強い屋外に出すと変色が一気に進みやすいため、環境変化には段階的に慣らしていくことが重要です。
真夏の直射日光は葉焼けの可能性があるので、真夏は明るい日陰か午前中のみ日光浴をさせるとよいでしょう。
木質化による茶色への変色
根元から茶色くなっていくのに触ってみると硬くてカラカラに乾いている場合は「木質化」と呼ばれる現象が原因です。
木質化とは、茶色に変色して木のように硬くなることです。
植物の体内においてリグニンという物質が増えることによって起こるとされており、草を木のような丈夫な組織に変化させる作用があります。
木質化するのは植物にとって生理現象の一つとされており、病気ではないとされています。
ただし、大きく育って老齢化したサボテンが巨木の外皮のように一部を木質化させることもありますが、若いサボテンが木質化した場合は環境の悪化を疑いましょう。
風通しが悪い場所やストレスのかかる環境に長期間置かれると若い株でも木質化が進むことがあります。
根腐れによる茶色・黒色への変色
茶色くなっている部分がぶよぶよと柔らかい場合は、話が全く違ってきます。
サボテンが根腐れを起こすと地面に接する部分から茶色く変色していきます。
変色している箇所を触るとぶにぶにと柔らかくなっているので、すぐに分かるでしょう。
放っておけば茎の芯まで腐ってしまいますので、見つけ次第対処が必要です。
根腐れを起こしていれば、すぐに広がっていきますので、抜いて傷んだ部分を取り除き乾かさなければなりません。
また、根腐れは過剰な水やりや長年植え替えないままの排水性の悪い土、冬の水やりが原因でも起こります。
元の綺麗な緑に戻せるのか
最も気になるのは、茶色くなってしまった金鯱が元の鮮やかな緑に戻るかどうかではないでしょうか。
残念ながら、茶色になってしまった部分を元の緑色に戻すことはできません。
ですが、いずれも緑の元気な部分が残っていれば変色部分を切って復活させることもできます。
つまり、すでに変色してしまった細胞を元に戻す手段はなく、できるのはそれ以上の変色を防ぎ、健康な部分を育てていくことです。
変色部分がぶよぶよと柔らかくなっていたり溶けたようになっている場合は、早めに変色した部分を切除し、変色部分が広がるのを防ぎましょう。
切り口には観葉植物用の抗菌剤を塗って乾かします。
日焼けの予防策としては、朝から4時間程度は直射日光に当たるようにし、以降は遮光して明るい日陰になるよう管理するとよいでしょう。
日照不足だと徒長してしまうので、日焼けと徒長のバランスを注意深く観察することが必要です。
遮光には網戸用のネットや不織布を活用する方法が実際の栽培者の間でよく用いられています。
金鯱を健康な緑色のまま長く楽しむためには、真夏の強い西日を避けること、室内から屋外への環境変化を段階的に行うこと、そして水のやりすぎに注意することが基本です。
サボテンの変色はサボテンからのSOSサインであることが多いので、変色以外の症状があるかどうかを合わせて確認することが重要です。